パンを千切ったような雲がプカプカと浮かぶ夏空。
咲き始めたコスモスは、駆け抜ける列車にブンブンと揺らされ。
大きく息を吸い込んで「ふぅ」と吐き出せば、より世界は晴れ渡って見え、人達は優しく見える。
窓際には、ペットボトルと時刻表、携帯電話とカメラ。
そしてやっぱり、、
動き出す列車の窓には、僕さ。
【列車の窓】
自分にとって、それは飽きることのない一枚の絵なのです。
発端は、くだらないことだった。
ラクダがニンジンを食べるのか食べないのか?
仲間内のそんな小議論から、「それなら行って確かめてくるよ」となるまで一瞬だった。
鳥取砂丘にラクダがいると聞いたことがあったため、このようなタイトルとなったのだ。
それから3年が経った2009年8/30(日)。
場所は福岡県の直方(のうがた)駅。
鳥取に向けて、ついにありけんの青春18切符に1つ目のハンコが押された。
【8/28(金)福岡のスタジオ】
今回の旅はライブが2本含まれていた。
その1本目は8/29(土)福岡プレアデス。
そうゆう訳で今回の旅は東京からでなく、福岡からスタートしたのだ。
写真はライブ前日のリハーサル現場。
右にいるのはサポートギターの永山。
いつもナイスギターをありがとう!
忙しい時期に企画をしてくれた江頭つとむ君、
現地で参加してくれたベースの豊田君、スタッフのやよさん、
なにより来て下さった皆様、本当にありがとう!
また来ます。
8/30(日)10:50 福岡県飯塚(いいづか)市。
飯塚とは福岡の内地、家からも遠く、すごく田舎なところ。
ありけんは亡き祖母の墓参りに来ていた。
【お墓が語る】
お墓を取り巻く柵の鉄棒は、戦時中の鉄不足で持っていかれたそうだ。
お墓だろうが宝石だろうが何だろうが、この時代は関係なく持ってゆかれたそうだ。
風化した石材を撫でてみる。
ざらざらと、だけど親しさと愛しさを感じる。
しかしでかい墓だ。
線香をあげ終えたありけんと妹は、新飯塚駅に着いた。
しかし、発車までまだ35分程時間があった。
「次の駅まで送っちゃあ」
そう言った妹は、知らない町にも関わらず2駅先の鯰田(なまずた)駅まで車を走らせた。
【写真10(No,1)『ちゃりんこ暴走族』】
鯰田駅前の遠賀川にて少し散歩。
萱の穂がまだ重たい晩夏の河川敷。
ちゃんと並んで、みんな一緒に、GO!!
鯰田は、父の生まれ故郷(妹に言われるまで気づかなかった)。
なるほど、ここは、田舎だなぁ。
【9/6か9/9が誕生日の妹】
家族全員の誕生日くらいメモらずに覚えたいものである。
だけど毎年、9/6だったか9/9だったか分からなくなってしまう。
今年は9/6におめでとう!と電話して、怒らせてしまった。
去年と一昨年は当てたのに、、。
あと15分程で電車が来るという頃になって気づいたことは、この駅には快速電車は止まらないということだった。
全ての計画が壊れるので、今すぐ前の駅に戻ってくれと頼むありけんに「戻っちゃだめだよ」と、さらに次の駅へと車を飛ばしはじめた妹。
戻った方が安全なのに、、。
やるなー。
快速が止まる3駅も先の直方(のうがた)駅まで、一刻を争う電車とのバトルである。
父の故郷で。
まっさらの18切符に直方駅のハンコが押されたのは、それから20数分後のこと。
さやか、ありがとう!
新米先生、頑張れ!
【本日のメニュー】
『青春18切符』とは、快速を含む普通列車が5日乗り放題で11500円という、
電車好きには夢のような切符である。
しかし反面、特急や新幹線等には全く使えず、
その場合には別に運賃も特急券も買わなければならないのである。
18切符を使う旅人が特急を使う場合、お金だけでなく同時にプライドまで失ってしまい、
『パス1』と言う(ごめん、ありけんだけしか言ってないかも)。
パスが3つになると、その場で旅は終了しなければならないのである!(ありけんルール)
福岡から鳥取へは、下関を抜けて日本海の山陰本線でゆこうと決めていた。
山口と島根を走る山陰本線は、本数も少なく、美しい海沿いで、乗りごたえありそうだからね。
楽しみにしていたんだ。
しかし!なぜありけんが山陽を走る新幹線『ひかり』に乗らなければならなくなったのか。
それは、適当なありけんと適当な古川君の無計画のせいであった。
今回の旅には、4つの指令が課せられていた。
・『ラクダはニンジンを食べるのか?』→実際に実験する。
・『ライブ』→福岡、金沢での2本のライブ。
・『写真10(しゃしんてん)』→知らない人の写真を許可を得て(撮影後に許可をもらうのもあり) 最低10枚は撮る。
・『古川君』→四国、中国地方を出張で飛び回ってる友人古川君とどこかで落ち会う。
もう3年も会ってない友人古川君。
2ヶ月程前に、8/31か9/1に山陰辺りを通るので島根か鳥取あたりで会わないかと連絡していた。
「まあ、なんとかなるやろう!」と二人。
ありけんも『古川君と落ち合おう』などと旅の指令にまでしてしまった始末。
しかし、四国と中国地方あたりって、、広すぎよね。
案の定2日前になって、古川君は仕事の都合上どうしても山陰には行けなくなったのだ。
「今回はしかたないよ」と言うありけんに、「いや、なんとかしようぜ!」と言いだした古川君。
そしてついに、「岡山で落ち合おう!」と言い始めたのだ。
ありけんは正直、山陰本線の山口〜島根の電車に乗ってみたかったのだ。
岡山に向かったら山口の山陰本線には乗れないじゃないか。
それに、半日で福岡から岡山までは距離的に無理だろ。
「いやぁ〜、、古川、無理せんでいいばい。
旅の指令もなんとか落ちをつけとくけん(この考えもダメである)、また次会おうよ。」
「いや有田、岡山きーよ、おれも香川から岡山に向かうけん!」
(でもなぁ〜、山口の山陰本線に、、)
「おれんち泊まればホテル代も浮くやろう!きーよ」
(でもなぁ〜、山口の山陰本線に、、)
【久しぶり!】
古川と初めて会ったのは高校1年の時。
緑のジャージを着て『上を向いて歩こう』を歌いながら、巾着袋を回しながら、
長い廊下をこちらへ歩いて来た。
インパクトが強かったなぁ。
「お前ら2人でクラスの平均偏差値、かなり下げとうぞ」
担任に言われたなぁ。
8/30(日)20:38 高松駅(香川県)
そんなの行くに決まっとうやんか。
古川そっくりな2人の子どもと奥さんと5人で夕食をすませ(ごちそうさまでした!)、お風呂を頂き、語り、消灯。
ぐっすり眠ることができたよ。
古川君、古川家のみんな、本当にありがとう!
4つの指令のうち、一つを達成したありけん。
指令はこなすためにあるのだ!
旅はまだ始まったばかり。
疲れが心地よく身体を回っている。
しかし明日、壮絶な山中でとんでもない失敗をしてしまおうとは、、。
その2へ続く